セカンドフラッシュ

セカンドフラッシュ

夏摘みの紅茶をセカンドフラッシュ:Second flush と呼びます。
3月から4月にかけてのファーストフラッシュ に続く5月から6月くらいにかけてのお茶です。日本で言えば二番茶にあたります。
日本茶の場合はタンニンの渋みよりテアニンの旨味を重視しますから新茶が喜ばれる傾向が強いのですが、紅茶を代表とする発酵茶の世界ではテアニンよりもタンニン・カテキン の渋みと萎調工程で出来てくる香りを楽しみますからセカンドフラッシュのほうが好まれる傾向にあります。
特にダージリンの マスカテルムスク と呼ばれる紅茶には、マスカテルフレーバー と呼ばれる上品で豊かな独特の香りと深いコクがあり、紅茶の最高峰の品格を持ちます。
そのマスカテルの香りは日本茶では害虫とされる ウンカ が葉を嚙むことにより、特別な酵素が作用して生まれると言われています。
よく、「ダージリンもセカンドフラッシュになるとミルクティーにも負けない紅茶になる。」と書かれているのですが、それは既に過去の話になってしまいました。
世界的な緑茶ブームは紅茶の世界にも及び、ダージリンの紅茶はどんどんグリニッシュに、緑茶に近く製茶されるようになり、フルボディーと呼ばれるようなどっしりとしたセカンドフラッシュは作られなくなってしまいました。
もちろん、マスカテルの中でも日本にはまず輸入されないようなどっしりとした最高級のマスカテルであれば、十分ミルクティーに耐えられる紅茶となります。
ただ、緑茶の文化の強い日本においては、そんな昔のマスカテルよりも、ライトな傾向の現在のセカンドフラッシュのほうが美味しいと感じられるのではないでしょうか。
「ダージリンもセカンドフラッシュになるとミルクティーにも負けない紅茶になる。」というのは過去の話、と理解し、現在の美味しいセカンドフラッシュを楽しみましょう。