紅茶のクオリティーシーズン
紅茶には産地ごとにクオリティーシーズンがあります。
よく聞く言葉に「ファーストフラッシュ:春摘み(3~4月頃)」「セカンドフラッシュ:夏摘み(5~6月頃)」「オータムナル:秋摘み(10~11月頃)」があります。
もちろんその間にもお茶の生産はされますのでファーストフラッシュとセカンドフラッシュの間をビトゥウィーンと呼んだり、7~9月の雨季の時期をレインとか、モンスーンと呼んだりします。
これらは冬から目覚めたお茶の木の葉がもつタンニン(カテキン類)の量がシーズンが進むにつれて増えるため、タンニンの酸化重合であるお茶の発酵も進みやすくなり、それによって紅茶の美味しさ自体が変わるために出てくるクオリティーシーズンの違いです。
一般的にファーストフラッシュの紅茶はタンニンが少ないために発酵が浅くなり、季節が進むにつれて発酵度が高まり、オータムナルの時期にはミルクティーに合うような紅茶が出来ると言われています。
しかし実際にはその特徴をしっかり出すために発酵度は調整されて製茶されます。
このような区分は基本的に季節によるクオリティーシーズンの区分ですので、スリランカのようなほぼ赤道直下の国々では季節そのものが存在せず、クオリティーシーズンは雨季か乾季かによって決まってきます。
スリランカ紅茶のクオリティーシーズンは、2~4月頃と、6~9月頃の2回に分けられます。
これは雨季と乾季が山の西側か東側かで変わるためで、アダムスピーク(スリランカ名:スリー・パーダまたはサマナラ・カンダ)を最高峰とする山岳地帯の西側か東側かによって雨季と乾季が逆転するためです。
つまり、西風が吹く季節では、アラビア海でたっぷりと湿気を吸った風が山に当たり上昇し、気温が下がり雨となって降り雨季となります。逆に東斜面は湿気が無くなり乾季となるわけです。
逆に東風が吹く時期には東斜面が雨季となり、西斜面は乾季となります。
したがって。一般的に山岳地域の西斜面に位置する産地、ヌワラエリア、ディンブラ、キャンディ、ルフナ、サバラガムワでは2~4月がクオリティーシーズンとなり、東斜面のウバ地方は6~9月がクオリティーシーズンとなります。
スリランカの紅茶産地の中でも、ウダプッセラワはちょっと特殊で、2~4月頃にクオリティーシーズンを迎える茶園と6~9月頃にクオリティーシーズンを迎える茶園が有ります。
これは元々ヌワラエリアの端の地域とウバの橋の地域を合わせてウダプッセラワという産地名を作ったために、ヌワラエリアだった茶園は2~4月頃にクオリティーシーズンを迎え、ウバだった茶園は6~9月頃にクオリティーシーズンを迎える事になります。
もっとも日本でも「時ならぬ長雨」や「空梅雨」が有るように、クオリティーシーズンのはずなのに雨が降り続いたり、オフシーズンのはずなのに天気が続き非常にクオリティーの高い紅茶が生産されることもあり、一概に「クオリティーシーズンだから美味しい紅茶が取れる。」という訳ではない事も覚えておくと良いでしょう。