ジャンピングって?

ジャンピング
の 重要性

その1


その2

その3

その4


 

ジャンピングの言葉の元になった「Talking of Tea」に、
著者のハックスレーさんは、いったいなんと書いたのか。


以下の黒文字の文章は、1956年にイギリスのガーバス ハックスレー氏によって書かれた「Talking of Tea」という本に書かれた中から引用した文章です。(P64-P66)

「Talking of Tea」 GERVAS HUXLEY 著 1956 John Wagner & Sons Inc.

日本では、美味しい紅茶を淹れるためには、ジャンピングが重要だと言われています。
しかし、日本以外の国では、紅茶用語として「JUMPING」という言葉は有りません。
それどころか、英語圏のどこのホームページを見ても、紅茶の淹れ方が書かれたホームページでも、日本でジャンピングと呼ばれている現象の事さえ書かれていません。

試しに、ここをクリックしてみてください
JUMPING TEA (Google検索)
 クリックすると、検索エンジンGoogleで「JUMPING TEA」で検索した結果が表示されます。

日本以外のページで、紅茶の淹れ方のページが出てくるでしょうか?

日本語の「ジャンピング 紅茶」で、日本のサイトを検索するとこんなにいっぱい出てきます。
ジャンピング 紅茶 (Google検索)


実は「ジャンピング」と言う言葉は、日本で作られた、日本でしか通用しない紅茶用語です。
私は、インド、スリランカの紅茶輸出会社、そしてロンドンのブラマー紅茶珈琲博物館に問い合わせましたが、どの国でも「JUMPING」と言う言葉は使われていませんでした。

その「ジャンピング」という言葉の元となったのは、このガーバスハックスレー氏が書いた、この「Talking of Tea」という本に書かれた記述です。(右の画像をクリック。大きくなります。)
この本の65ページから66ページにかけて、日本で「ジャンピング」と呼ばれている現象が書かれています。

いったい、そこにはなんと書かれているのか。
ガーバスハックスレー氏は、本当は何を言いたかったのか。
本当に彼が、日本でジャンピングと言われている現象を重要視していたのか。

それを明らかにするために、原書を入手し、ジャンピングについてかかれている部分の前後を翻訳してみました。

原文は、非常に難解な部分も有り、適切に訳せていない部分も有るかもしれません。
「この部分の訳は、こう訳した方が良い。」というご意見は大歓迎です。
そういう意見をお持ちの方は、是非、こちらまでご連絡ください。info@Liyn-an.com

以下が、その原文と、私が訳した訳文です。

この文の解説は、「紅茶の抽出における ジャンピング の重要性について」に書きましたんで、是非読んでみてくださいね。

 

 Tea is clearly a most accommodating substance. What amongst so many ways of drinking tea, is the right way? Strong brew or weak, milk or no milk, sugar or no sugar, loose tea or tea bag, hot or iced, lemon or mint, or no even butter-flavoured? Since so many different people are convinced that their way is the right way, there can be only one answer to the question. The right way to drink tea is the way you like it best. To this answer must, however, be added an important proviso. In whatever way you take your tea, the leaf should have been given the chance of bringing out its full nature and flavour. Here we leave the realm of preference enter the world of fact, because tea`s full properties and flavour will not be released unless the dry leaves have been exposed for a sufficient length of time to the action of fresh water as near the boil as possible.

紅茶は疑いもなく最も親しみやすい物質です。
たくさん有るお茶の飲み方の中で、いったい正しい方法はどれなんでしょうか?
強く淹れたり軽く淹れたり、ミルクを入れる人もいれば入れない人もいる。
お砂糖も入れたり入れなかったり、リーフティーで淹れる人も入れば、ティーバッグの人もいます。ホットが好きですか、それともアイスティーが好きですか。レモン? ミントティー? それともバター風味にしますか?
多くの人たちが彼ら自身の淹れ方が一番美味しいと確信しています。ですから、先ほどの質問に対してのただひとつの答えはこうです。
「お茶の正しい淹れ方は、あなたの好きな好きな淹れ方です。それがベスト!」
この答えは「絶対」です。でも、重要な但し書きが付け加えられます。
あなたがどんな淹れ方をするにしても、茶葉はその持っている味と香りをフルに引き出されるチャンスを与えられるべきです。
ここから、私達は、嗜好の世界から現実の世界へと入っていきます。
なぜなら、充分に長い時間、出来る限り沸騰近くの新鮮なお湯に触れていなければ、お茶の性質と香りは、乾いていた茶葉から引き出されないからです。

 It is on this fact that the simple rules for tea-making are based. Apart from being sure that the fresh water in the kettle is fiercely boiling, the injunctions to warm the teapot and to take the teapot to the kettle and not the kettle to the teapot are not just old wives' foolishness, but do, of course, help the water in the teapot to remain nearer boiling-point for a longer time than if the boiling water had been poured into a cold teapot or if the water in the kettle was well off the boil before it reached the pot. As for the length of time needed for the full infusion of the leaves, the expert professional tea-tasters always allow five or six minutes. But five minutes is agreed to be a sensible infusion time for the ordinary tea drinker. In no case should less than three minutes be given.

この事実、お茶を淹れるためのシンプルなルールが存在しているのです。
ケトルの中で新鮮なお湯がぐらぐら沸いているということはさておき、「ポットを温めなさい」とか「ティーポットをケトルの方へ持っていくのよ。ケトルをティーポットの方へ持っていっちゃだめよ」というのは、おばあさんの戯言ではありません。もちろんそうするべきです。ティーポットに注ぐ前にケトルのお湯が充分沸騰して、それを冷たいポットへ注いでおけば、より長く沸騰近くの温度に保つ助けとなります。
茶葉を充分に抽出させるために、専門のプロテイスターは、5〜6分の時間を使います。
でも、普通のお茶好きな方のためには、5分位がいいでしょう。
最低でも3分以上は蒸らしましょう。

 A very simple experiment will give a vivid practical proof of these rules. Take three glass tumblers and put a measured quantity of tea in each (1/12th oz of tea to an 8 oz glass is a suitable amount). Into the first glass pour under-boiled water (i.e. water at about 190° F.); into the second glass pour over-boiled water (i.e. water that has been boiling for about ten minutes); and into the third glass freshly boiling water. Allow in each case an infusion time of six minutes. The results will be seen to be as follows: In the first glass (the under-boiled water) about half the tea leaves rise to the top of the glass and remain there all the time, the rest remain at the bottom. In the second glass (the over-boiled water) all the leaves stay clotted at the bottom of the glass from the beginning of the infusion till the end. But in the glass in which freshly boiling water was used about two-thirds of the leaves immediately float to the top and the leaves circulate from bottom to top and top to bottom until after about three minutes all the leaves sink to the bottom. Only in this third glass have the leaves been fully exposed and their goodness drawn out.

非常にシンプルな実験が、これらのルールを証明してくれます。
三つのガラスのタンブラーを取り、それぞれに茶葉の量を測って入れます。(8オンス:約227g のグラスに対して、1/12オンス:約2.4gの茶葉が適量です)
最初のグラスは、沸騰していないお湯を注ぎます。(お湯の温度は、190°F: 約88°C)
2番目のグラスは、沸騰しすぎたお湯を注ぎます。(10分くらい沸かし続けたお湯)
そして、3番目のグラスは、沸騰したてのお湯を注ぎます。
それぞれに6分の抽出時間を与えます。
その結果は、明白に見ることが出来ます。
一番目のグラス(沸騰していないお湯)は約半分の茶葉がグラスの上に浮かんだままになっていて、残りが底に沈んだままになっています
2番目のグラス(沸騰しすぎたお湯)のグラスの茶葉は全て、抽出時間の最初から最後まで、グラスの底に固まっています
しかし、沸かしたてのお湯で入れたグラスでは、すぐに約2/3の茶葉が上に浮かび、そして約3分後に全ての茶葉が底に沈むまで、茶葉は底から上へ、上から底へと循環します。
この3番目のグラスだけが、茶葉が完全に開き、その成分が引き出されました。

 There is one final rule for ensuring a good cup of tea in whatever way anyone may prefer to drink it. This is to use the best tea that you can possibly afford and to use enough of it. A pound of tea will make between 150 and 200 cups, so that even if the price of good quality tea rose to ten shillings a pound each cup would still cost less than a penny and there is a world of difference in enjoyment and refreshment between say a high quality Ceylon blend and a common tea, though the difference in price between them will be not more than a shilling or two a pound. Good quality tea is, indeed, one luxury that no one need deny himself. As regards using enough, some people like their tea weak, and others strong. No standard recipe would suit all tastes, but when tea is being made for several people, it should be remembered that a stronger brew can always be weakened by adding hot water to the cup, but nothing can be done to strengthen weak tea. The best general recipe is still, therefore, the old one of one spoonful for each person and one for the pot.

誰でも、そしてどんな飲み方が好きでも、美味しく紅茶を飲むための最終的なルールが、一つあります。それは、あなたの余裕のある限り良い茶葉を買って、そしてそれを充分な量、使うことです。
1ポンドの茶葉で、150杯から200杯の紅茶が出来るでしょう。
例えば、1ポンドが10シリングの高い品質の茶葉を使っても、1カップあたりの値段は1ペニーにもなりません。
普通の紅茶とハイクオリティーセイロンブレンドとの間には、天と地ほどの喜びとリフレッシュ効果の差があります。それにもかかわらず、その値段の違いは、1ポンドの重さの茶葉にして、1シリングか2シリングの違いしかありません。
良いお茶は、誰も文句の言えないちょっとした贅沢ですよ。
使う茶葉の量に関しては、濃いめが好きな人、薄めが好きな人、それぞれです。全ての好みに合うスタンダードなレシピは存在しません。しかし、複数の人のためにお茶を淹れる場合、濃く淹れたお茶はお湯で薄めることは出来ますが、薄いお茶は濃くできない事は覚えておくべきです。
一般的にベストといわれるレシピには、まだありますね。、例えば古い一つとして、「それぞれの人にためにスプーン1杯づつの茶葉を、そして、ポットのために1杯を」とか。

Copyright(c), 1956 Gervas Huxley
翻訳:紅茶専門店 TEAS Liyn-an 堀田信幸


この文の解説は、「紅茶の抽出における ジャンピング の重要性について」に書きましたんで、是非読んでみてくださいね。



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