2002/9/22
紅茶の自由研究 審査結果 発表
お待たせいたしました。『 紅茶の自由研究特集 』の審査結果を発
表いたします。
最優秀賞: 愛媛県 黒住彩さま
研究内容「紅茶の色調の変化と、それに関係する物質について」
努力賞: 愛知県 平田明美さま
研究内容 「世界三大紅茶について」
最優秀賞については、ダージリンセカンドフラッシュ・キャッスル
トン茶園レギュラーパックを。
努力賞には、ミニパックを贈らせていただきます。
お二方、おめでとうございました。
★黒住彩さん「紅茶の色調の変化と、それに関係する物質について」
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黒住彩さんは、中学校2年生なんですが、それは面白い実験結果を
見せてくれました。
疑問の始めは「レモンで紅茶の色が薄くなるのは、ビタミンCの働
きかなぁ。」という素朴な疑問なのですが、それをまず、レモンの
皮と、皮の裏の白い部分と、果肉の部分に分けて実験し、まず、果
肉の部分が色を変化させることを突き止めます。
その次には、ビタミンCを多く含む食品や、健康食品のビタミンC
製剤などを使って、ビタミンCではないことを突き止めます。
それでは、レモンのすっぱい性質が色を変化させているのではない
かと、梅干しとか、スポーツドリンクとか、食酢を入れて色の変化
を実験しているのです。
それぞれにpH試験紙で水素イオン濃度(酸性はアルカリ性の度合い
を示す指標)を調べながら、きちんとデータを取っているんですよ。
こうして、とうとう、酸性の物質が紅茶の色を薄くすることを突き
止めました。それでは、アルカリ性では、紅茶の色が濃くなるのか。
それについては、重曹で実験し、アルカリ性では色を濃くなること
を確かめます。
じゃぁ、ハチミツで紅茶の色が濃くなるのもアルカリ性のせい??
と言う疑問に「糖分かも知れない」という疑問を持った彩さんは、
三温糖や、上白糖を入れて紅茶の色を確かめます。でも、やはり黒
くなるのはハチミツだけ。そしてpHが中性であり、アルカリ性の
せいではないことを知ります。
そのうち、ハチミツだけは、浮遊物が出来て、浮遊物以外のところ
は色が薄いことから、特定の物質が紅茶の何かと結合しているのだ
と推定します。
次に行った実験は、これまでに使ったアッサム紅茶ではなく、ダー
ジリン紅茶で実験すること。
この実験では、ダージリン紅茶でも黒くはなるのですが、アッサム
ほど黒くならないことを突き止めます。
「じゃぁ、アッサムとダージリン紅茶の違いは?」そう、タンニン
の多さが違うんですよね。そこから「タンニンと結合しやすい鉄分
のせい?」というところまで結論を導き出しています。
レモンで紅茶の色が薄くなるのは、レモンに含まれるクエン酸によ
るものです。そしてハチミツで黒くなるのは、彩さんの推測の通り、
ハチミツに含まれる鉄分のせいなんです。それは紅茶屋ですから当
然知っている知識なんですが、知っていても、その追求するプロセ
スが面白くて、面白くて、ついつい引き込まれて読んでしまいまし
た。本当に面白い実験なんです。ここまで自分で実験のやり方を考
えて、実際に実験して結論を導き出したその努力に、最優秀賞をさ
しあげますね。
最後に「本当は私は、電気や化学反応が苦手で、あまり好きではあ
りませんでしたが、今回の実権を通して科学のおもしろさが判った
ので、ちょっとだけ好きになりました。」と書いてくれました。
化学反応なんていうと、難しいもののように考えちゃいますが、本
当に身近なものなんですよ。私自身は美味しい紅茶を淹れることを
「ポットの中の化学変化」って呼んでいます。それくらい身近なも
のですから、どんどん好きになって、科学を楽しんでくださいね。
★平田明美さんの「世界三大銘茶について」
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これは、何故「ダージリン・キームン・ウバ」の三つの紅茶が世界
三大銘茶と言われるようになったの? という疑問に挑戦したレポー
トです。
そのために、一生懸命図書館に通い、紅茶関係の書籍を読みあさっ
たんですねぇ。本当にご苦労様でした。
この三大銘茶に関して、共通する特徴を探ったり、いろいろと考察
を加えているのですが、面白かったのは、英語圏のホームページに
は、この「世界三大銘茶」の記述が無い事!
「えっ!?」と、思うのと共に、「やっぱり。(^_^;)」
「日本の常識は世界の常識にあらず」
と言うことは、紅茶の世界にもたくさん有りますよね。
お茶の世界で語られる「カティーサークはティーレースに参加でき
なかった。」というのは、日本のお茶の世界の話だけで、日本の帆
船マニアの世界でさえも、語られていない事だったり。(^_^;)
http://Liyn-an.com/inpaku/cutty-sark/cutty-sark01.htm
「ジャンピング」も、日本の紅茶用語で、英語圏のホームページを
「jumping tea」のふたつのキーワードで検索しても、英語で書かれ
た紅茶の淹れ方のページがひとつも出てこなかったりします。(_ _;)
http://www.google.com/search?num=50&lr=lang_ja&q=jumping%20tea
日本語のページは出てきますけど。(^_^;)
「世界三大銘茶」も、世界の常識ではなかったんですねぇ。
英語圏の紅茶サイトの方に、メールで問い合わせているところは素
晴らしいです。ちゃんとした結果が帰ってこなかったのは残念です
が、その事実自体が、世界三大銘茶は、日本でしか言われていない
言葉の証明となっていて面白いです。
平田さんは、さらに調べた結果、紅茶の世界の第一人者、元リプト
ンジャパンの取締役で、日本紅茶協会顧問の荒木安正氏の書かれた
「改訂版 紅茶の事典」で、「ただし1910年頃までの話である」と言
う記述を見つけます。
この話は、荒木氏ご自身から直接聞いたことが有るのですが、紅茶
の事典にも書かれていたんですね。
色々調べた結果、何故世界三大銘茶と言われるようになったのかは
判らなかったのですが、紅茶全体を見て考察しているその努力に対
して、努力賞をさしあげます。
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