TITLE:  Liyn-an TEA TIMES No.166 クローナルって何?Errors-To: mag2from@rabbit.tegami.com
DATE : 2004-05-23 22:39:47
--------------------------------------------------
|***********************************************************|
|Ooo.....oooO☆   紅 茶 通 信   ☆Oooo.....ooO|
|                                                           |
|       Liyn−an  TEA  TIMES   No.166         |
|                     by TEAS Liyn-an      発行 2004/5/23   |
**********************TOPICS***************************
|                                                           |
| ◆お茶コラム: クローナルって何? ◆                       |
|                                                           |
| ◆6月のケーキ『チェリーパイ』『チェリークラフティー』 ◆ |
|                                                           |
*************************************************************
このメールマガジンは、まぐまぐ と メルマを使って発信しています。
| 購読の中止  http://Liyn-an.com/tea_room/mag/index.html#times
| お茶の販売  http://Liyn-an.com/shop/
| お店の紹介  http://Liyn-an.com/
| バックナンバー  http://Liyn-an.com/tea_room/mag/search.htm
*************************************************************
| ◆お茶コラム: クローナルって何? ◆                       |
  ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 

「クローナル」という言葉をご存じですか?

インドの紅茶は、グレードを表す FTGFOP1 と言った記号の後に、
「CHINA」とか「SP」とか言う記号が付いてくることがあります。

「CHINA」は、読んで字の如く、「チャイナ:中国種」で、中国種の茶
樹で作った紅茶であることを示します。

こういう記号の中に、最近は「CL」と書かれた物が出回るようにな
りました。


これは「CLONAL:クローナル」の略です。


先日、お客様からこのクローナルについて、お問い合わせをいただき
ました。


「クローナルについて、接ぎ木栽培種って書いて有ったんですけど、
  普通の栽培種と違うって事ですか。」

       「えっ!」「クローナルが接ぎ木????」

スリランカでも、アッサムでも、ナサリー(苗場)を見てきましたが、
その殆どは挿し木で増やしています。
接ぎ木ではありません。

日本でも、今現在殆どの茶樹は、挿し木で増やします。

私は接ぎ木で増やすことを、見たことも聞いたことも有りませんでし
た。ですから、

     「えっ!」「クローナルが接ぎ木????」

と、思ったんですが、

     「クローナルは、一般的に挿し木です。」

と答える前に、「もしかしてインドでは、一部接ぎ木をしていて、そ
の接ぎ木の茶樹だけにCLと言う記号を付けているのかもしれない。」
と思い、ちょっと調べてみました。

今回はそのお話です。


皆さん、「クローン」って、言葉を聞いたことがありますよね。

1996年、イギリスでクローン羊のドーリーが誕生して、一気に
「クローン」と言う言葉が有名になりました。

実は「クローナル」とは、この「クローン」そのものなんです。


では、「クローン」とは何か?

地球上の多くの生物は、雄と雌に分かれ、減数分裂によって半分の遺
伝子を持った生殖細胞同士を掛け合わせる事によって、新しい子孫
を作っています。


植物の場合の多くは、オシベとメシベが有り、オシベで出来た花粉が、
メシベに付くと、実がなり、種が出来ます。

多くの生物達は、違った遺伝子を持った親同士の遺伝子を、任意に半
数づつ子供に引き継がせ、親と違った遺伝子の組み合わせを持った子
供を作り、種の多様性を持たせてきました。
子供達の性質を多様化させておけば、特定の環境の変化にも、強い個
体が生まれてくるからです。

こういった減数分裂による生殖細胞以外で増えた個体を「クローン」
と呼びます。

「CLONE:クローン」は名詞で「CLONAL:クローナル」は形容詞です。
ですから、CLは、正式には「CLONAL PLANTS: クローン技術で増や
した植物」とか「CLONAL TEA BUSH: クローン技術で増やした茶樹」
の略ですね。

「クローン」の最大の特徴は、親と全く同じ遺伝子を持つことです。

これは、農業や畜産業では、非常に重要です。
美味しい品種だけをそのまま増やせるのですから。


クローン羊のドーリーで一気に有名になった「クローン」ですが、
哺乳類で作り出すことが難しい「クローン」も、植物の世界では、
ずっと昔から手軽に行われてきた技術なんですね。
スーパーにもいっぱい並んでいるんですよ。

と言うより、自然界でクローンで増えている植物も、いっぱい有るん
です。

例えば、地下茎で増える竹は、全て「クローン」です。
球根で増えるチューリップも、もちろん「クローン」です。

ですから、スーパーに並んでいるタケノコも、玉ねぎも、ニンニクも
全て、「クローナル野菜」なんですよ。

こういった自然にクローンを作り出す植物以外でクローンを作る場合
は、一般的に「挿し木」「接ぎ木」「取り木」の3種類の方法が使わ
れます。

「挿し木」は、木の枝を土に差しておくだけの、1番簡単な方法です。

「取り木」は、枝の皮を剥いて、水苔などを巻き付け、ビニールを巻
いておきます。そうするとそこから根が出てきます。根が出たところ
で切り取って土に植えて増やす方法です。

「接ぎ木」は台木と呼ばれる別の品種の木の根から上を切り取って、
そこに増やしたい木の枝を接いで苗木を作る方法で、この中では一番
面倒で、難しい方法です。


挿し木はこの中で最も簡単な方法ですから、この方法で増やせれば、
全く同じ性質の木を増やすだけのためなら、基本的には、他の方法
を取る必要は有りません。

挿し木は向いていない樹木も有るようですが、取り木の場合は、基本
的にはその枝は本当の根から栄養を貰えるので枯れることがほとん
ど無く、挿し木より成功率が高いようです。
その代わり、挿し木より手間はかかります。

接ぎ木は、一番手間がかかります。

と言うより、一旦、挿し木や種から台木となる苗木を作って、その
苗木を切って上に別の木を接がなくてはなりません。
ですから、単に増やすだけの目的では、接ぎ木は行われません。

それでも接ぎ木を行うメリットは、根の性質と、幹から上の性質の両
方の性質を持った木を作る事が出来るからです。

接ぎ木の場合、完全なクローナルとは違い、根の部分は根の部分の遺
伝子を持ち、幹から上の部分は、別の遺伝子を持ちます。

ですから、花や実は、上の部分の遺伝子の花や実が付きます。

でも、根で出来た栄養成分は、当然上の部分にも行き渡ります。
という事で、台木の性質も持った木を作ることが出来るのです。

ですから接ぎ木の場合は、樹勢を強くしたり、病害虫に強くしたり、
2種類の木の性格を持つ苗木にしたい場合に使われるクローンです。

現在、日本の果樹は、その殆どが接ぎ木で作られるそうです。

もう北海道の桜も散ってしまったようですが、日本中のソメイヨシ
ノは、全て同じ遺伝子を持つクローンです。
そしてその殆どが、接ぎ木で増やされたクローンです。


ところで肝心なお茶の木は?

現在インドでは、挿し木が一般に行われ、種から育てる実生(みしょ
う)も、行われています。
インドの茶業試験場でも、接ぎ木用の機械を開発して(手間がかかり
ますから)普及しようとはしているようです。
http://www.upasitearesearch.org/botany_content.html

英語では、「draft」 が接ぎ木をさします。
挿し木は、「cutting」 と呼ばれます。


日本ではほとんど行われていない接ぎ木も、一部では実施に行われ
ているようです。

ただ、取引先に確認したところ、やはり一般的なのは挿し木だそうで
すね。
そりゃそうですよね。果樹が数メートルに1本植えるのに対して、
お茶の木は、1メートルに数本植えるので、必要な苗木の本数は、
数倍多いんです。
挿し木でも問題なければ、当然、楽な挿し木で増やします。


ネットを探していましたら、クローナルを、中国種とアッサム種の
交配したものだという記述も見かけました。

これも間違いです。
中国種とアッサム種の交配種は、ハイブリッド(Hybrid)と言います。


ハイブリッドという言葉は、クルマで有名になりましたよね。
クルマの世界で、現在実用化されているハイブリッドは、動力に、
主にガソリンエンジンと電気モーターを組み合わせたクルマのこと
ですよね。

植物の世界でハイブリッドとは、雑種とか、交雑種と呼ばれ、種類
の違う品種を掛け合わせた品種です。


種類の違う品種を掛け合わせると、雑種強勢(ざっしゅきょうせい)
といって、強い生活力を持った個体を作ることができます。

この辺りは、このページに詳しい解説がありますので、興味のある
方はアクセスしてみてくださいね。
http://www2u.biglobe.ne.jp/~gln/13/1338.htm


強い木を作るハイブリッドですが、問題がないわけではありません。
雑種強勢は、代を重ねる毎に弱くなっていくのです。
つまり、ハイブリッドを、種で増やしていくと、近親交配ですから
どうしても雑種強勢が無くなっていくのですね。

ですから、雑種強勢を期待する場合は、1代限りの種を作り続ける
か、クローンによって増やすことになります。

この辺りから、「クローン=中国・アッサム交雑種」という誤解が
生まれてきたのかもしれません。

この辺りは、そして、クローナルの内で、特定の栽培方法をした物
に対してだけ「CL」を付けているのではないか、という疑問に関
して、インドの取引先に、念を押して何度も聞きましたが、
「クローナルには、中国種も、アッサム種も、ハイブリッドも有る」
という答えでした。


という事で、「CL:クローナル」は、「美味しい紅茶を作るために、
同じ遺伝子を持った美味しいお茶ができる木を、クローンによって
増やして作っているんですよ。」と言う意味だと思ってください。

けっして、
「クローナル=接ぎ木栽培種」でも、
「クローナル=中国・アッサム交雑種」でもありません。

もちろん「CL」と書かれた紅茶の中には、「接ぎ木栽培種」も、
「ハイブリッド:中国・アッサム交雑種」も、多く存在しますが。



「CHINA」 もそうですが、この「CL」は昔は付けられませんでし
た。現在でも、クローナルにはこの記号を付けるという規定も何も
有りません。「CHINA」も、茶園が「中国種で作ってるんだよぉ」と、
強調するためだけに付けている記号です。

有名茶園でも「CHINA」を付けずに出荷する茶園はたくさん有ります。
もちろん「CL」は付けている茶園の方が少ないでしょう。

きっとどこかの茶園が、ハイブリッドの紅茶に何か記号を付けたく
ても「CHINA」とは書けないため「CL」と書き始めたのだと思います。

でも、こういう売るための表示というのは、だんだん広まっていき
ます。だから最近目立つようになって来ていますね。


以上が「CL:クローナル」の正体です。
という事で、この「CHINA」とか、「CL」は、美味しさの基準にはな
りません。


もっと言っちゃうと、「SFTGFOP」の、「SFTGF」も基準が無く、茶
園マネージャーの感じ方ひとつで決まります。

でも、こちらは、基本的には美味しさを示す記号で、あまりひどい
付け方をすれば、市場での信頼を失いますから、ある程度の基準に
することができます。

それに比べ「CHINA」とか「CL」は、どんな種類の茶樹から作ったか、
または、その茶樹は、どんな方法で増やしたかを示すだけで、美味
しいかどうかを示していません。

という事で、リンアンでは、グレード表示に「CHINA」とか「CL」が
付いてきても、それを「そうなの...。」と思うだけで、判定の基準
にすることはありません。

あくまで、実際に飲んで、付いている記号には関係なく、美味しい
と思ったお茶だけをお届けしています。


*************************************************************
| ◆6月のケーキ『チェリーパイ』『チェリークラフティー』 ◆ |
  ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 
6月はさくらんぼの季節ですよね。

という事で、毎年、6月は『チェリーパイ』なんですが、今年は
久々に、『チェリークラフティー』も焼くことにしました。

クラフティーは、陶器の町リモージュで有名な、フランス中央部に
あるリムーザン地方の伝統的なお菓子です。

このリムーザン地方の特産物は、ブラックチェリー。

その美味しい旬のチェリーをたっぷり入れて、卵とミルクもたっぷ
り入れて焼いたタルトが「クラフティー」です。

ですから、ブラックチェリーのクラフティーを、特に「クラフティー
リムーザン」と呼ぶんだそうです。

でも、「ちょっと判りにくいかな?」と言うことで、『チェリーク
ラフティー』と呼ぶことにしました。

どんなタルトかは、こちらをご覧ください。
http://liyn-an.com/tea_room/cake/image/c_cherry-crft.jpg

こんなにたっぷりチェリーが入って、美味しそうでしょ。


それと、もう一つは、『チェリーパイ』
こちらはもう毎年6月のお菓子の定番になりましたね。

こちらはもっとチェリーが入っています。
http://liyn-an.com/tea_room/cake/image/c_cherry-p.jpg

『チェリーパイ』と、『チェリークラフティー』
毎日、このどちらかを焼きます。時には両方焼くことも。
どちらが食べられるかはケーキ部長次第ですので、ご了承ください
ね。m(_ _:)m


∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
編集後記
--------
今回は『クローナル』で精魂使い果たしてしまいました。

でも、まだ書き足りないような気がします。
もしかしたら次号も『クローナル−2』を書いていたりして。^^;

結局、クローナルって言うのは、お茶の世界では挿し木か接ぎ木で
増やした茶樹のことです。
ですから、今の日本茶の世界は、ほとんど全てがクローナルなんで
すよね。

今、日本のお茶の90%はヤブキタだと言われ、そのほぼ100%
が挿し木によって増やしているんですから。


これからは、「青柳CL」とか、「雁音CL」って呼びましょう。

                              もちろん  冗談ですからね。^^;
                      ------------------------------------
                        責任編集:堀田信幸 有限会社リンアン
                        488-0837愛知県尾張旭市庄中町鳥居1820
                        TEL 0561-53-8403    FAX 0561-53-8405
                        http://www.Liyn-an.com/
                        E-mail              info@Liyn-an.com

☆Oooo.... 紅 茶 通 信 ☆ Liyn-an Tea TIMES ....ooO☆
------------------------------------------------------------
                         Copyright(c), 2004 Liyn-an co.,Ltd