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TITLE:  Liyn-an Tea Club No.23 ジャンピングの真相が見えた?(2/2)
DATE : 2004-03-29 08:57:45
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           ◆ 紅茶の実験室 ☆ Liyn-an Tea Club ◆
                      No.23   2004.3.29
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  TOPICS 1:第20回 Liyn-an Tea Club 結果報告(2/2)
              「ジャンピングで遊ぼう」
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3/19 のメールマガジンで半分報告した、第19回 のティークラブ
「ジャンピングで遊ぼう 第2弾!」結果報告の続きです。

前回は、ジャンピングの元となった、ハックスレーさんの本
「Talking of Tea 」の訳を交えながら、ハックスレーさんの実験を、
ダージリンオータムナルジュンパナ茶園と、ディンブラディレイト
ン茶園で実験して、全く同じ結果だった事、そして飲み比べても、
新鮮な沸かしたてのお湯(Freshly boiling water)で抽出した紅茶を
嫌いな人はいなかったことを書きました。

ただ、ハックスレーさんや、世界中の紅茶関係者が言っているのは、
ジャンピングと呼ばれている現象ではなく、「必要なのは沸かした
ての新鮮なお湯」である事も説明しました。


ここで、実験結果をもう一度見てみましょう。
数字は、「これは嫌い」と言う人の数です。

                                     U  F  O
 ダージリン・ジュンパナ茶園 FTGFOP1  4  0  1
 ディンブラ・ディレイトン茶園  BOP   2  0  4

              U: 沸騰していないお湯 (Under-boiled water)
              F: 沸騰したてのお湯   (Freshly boiling water)
              O: 沸かしすぎのお湯   (Over-boiled water)


確かに、沸騰したてのお湯(Freshly boiling water)を嫌いな人はい
ませんでしたが、茶葉によって、そして人によっては、U: 沸騰して
いないお湯 (Under-boiled water)や、O: 沸かしすぎのお湯  
(Over-boiled water) を嫌いではない人は、少なからずいるのです。

この実験は、6分の抽出時間で行っていますが、抽出条件や茶葉が
変わったら、そして好みによっては、結果は変わっていたかもしれ
ない範囲です。

この辺りは、あとで解説しますが、実験の終わったグラスを見てい
て思ったことがあります。

私はこういう結果を見るときに、よく逆説的な見方をしてみるんで
すね。逆の説明をしてみて、その説明が否定できるか出来ないかを
考えてみるんです。

今回はこう仮定してみました。


「全てのグラスで、実はジャンピングが起こっているのではないのか?」


実験の結果では、明らかに沸騰前のお湯では茶葉が浮かんだままに
なっていて、沸かしすぎたお湯では、茶葉が沈んでしまいます。

でも、、それは3分間という時間内で見ている場合です。

その3分間という枠を外してみたらどうなるのでしょうか?

沸騰していないお湯で淹れたグラスでも、時間が経てば、一つずつ
茶葉が沈んでいきます。そして、有る茶葉は、また浮かび上がるの
です。

これは、激しいジャンピングではないですが、やっぱりジャンピン
グに違い有りません。


つまり、沸騰していないお湯と、沸かしたてのお湯と、沸かしすぎ
たお湯のジャンピングでは、ジャンピングが起こる時間軸に、非常
に大きな差があるのです。


話は飛びますが、ブラウン運動 と言う言葉をご存じでしょうか。
高校の物理の実験で、プレパラートの上に閉じ込めた煙を、顕微鏡
で覗き込んだ記憶のある方も多いでしょうね。

ブラウン運動とは、自由に飛び回る空気や水の分子の衝突によって、
微粒子が、ランダムな方向に、そして小刻みに動き回る運動です。

参考:http://www.geocities.co.jp/Hollywood/5174/indexb.html


今回のティークラブでは再現できませんでしたが、ジャンピングは、
茶葉が上下するだけでなく、極稀に、このブラウン運動にそっくり
な、上下左右、斜めに、全くランダムな動きをすることがあります。

私自身は、このブラウン運動のような不思議なジャンピングを含め、
ジャンピングの動き方の解明が出来ていません。


しかし、こういった不思議な動き方のジャンピングを含め、ジャン
ピングを起こすために不可欠な条件が、一つだけあります。

それは、乾燥して非常に多くの空気を含んだ茶葉が、空気の代わり
に水(お湯)を含み、水の比重と、ほぼ同じ比重になったときにしか
ジャンピングは起こり得ない という事実です。


水だし紅茶を作ってみると判りますが、水で抽出しても、最終的に
は殆どの茶葉は底に沈みます。
時として、茶葉が沈むために、1日以上の時間がかかることもあり
ますが、殆どの茶葉は、最終的には沈むのです。

という事は、その間には必ず上に書いた、ジャンピングの必須条件
の、茶葉の比重が水と同じになった状態が存在するわけです。


ただ、それが、沸騰したての新鮮なお湯(Freshly boiling water)では、
3分間の間に起こり、沸騰させてないお湯では、10分とか、20
分で、極端なときは数日をかけて起こる。

そのため、茶葉の比重がほぼ水と同じになっている時間(ジャンピン
グ現象が見られる時間)も、沸騰したてのお湯では、数十秒間である
のに対し、沸騰していないお湯では、ジャンピング現象が見られる
時間は、数分以上かかるのです。

でも、茶葉自身の数はほぼ同じですから、同時に上下する茶葉の数
は、沸騰したてのお湯の方が、遙かに多いことになります。


という事で、沸騰したてのお湯では、激しくジャンピングが起こり、
沸騰前のお湯では、3分間の間では、ジャンピングが起こっていな
いように見えているのです。


となると、沸かしすぎたお湯ではお湯を注いで、攪拌されている間
に既にジャンピングが終わってしまって、茶葉が全て沈んでしまう。

そう考えることが出来そうです。



ティークラブが終わってから、数日間、「なぜこういった違いが起
こるのか?」について、ずっと考えていました。


そこで思いついたのが「空気」です。

茶葉は茶園では、水分量3%位まで乾燥されて出荷されます。それ
がブレンドや、包装工程などである程度の湿気を含みますが、非常
に多くの空気を取り込んでいます。

その茶葉が沈むためには、茶葉に水(お湯)が、茶葉にしみこまなけ
ればなりません。
逆に言えば、空気が出て行かなければ、水がしみこまないのですね。

沸かしすぎたお湯は、空気をほとんど含んでいません。
言ってみれば「空気の砂漠」状態です。そこに空気をたくさん含ん
だ茶葉が入っていったらどうなるか?

砂漠に水が染み込むように、茶葉の空気はどんどん水に溶け込んで
しまうのではないか?

その代わり水(お湯)がどんどん入り込んで茶葉が沈んでしまう。

そう考えると、この現象が理解できます。


もしそうだとすると......。

ハックスレーさんの実験を、先に茶葉を入れるのではなく、お湯を
入れておいて、後からそおっと乾いた茶葉を入れれば、沸かしすぎ
たお湯でも、上に浮いた茶葉がすぐに沈み始め、その時にジャンピ
ングが見れるはず。


さっそく実験してみました。

沸かしたてのお湯と、10分間沸かし続けたお湯をグラスに注ぎ、お
湯の動きが納まったところで、測っておいた茶葉を、そおっとお湯
の上に置きました。

すると....。


10分間沸かしたお湯でも、一部の茶葉が沈み、一部の茶葉は一旦
浮いたと思うと、すぐに激しいジャンピングを起こしたのです。

沸かしたてのお湯は一部の茶葉が沈み、浮いた茶葉はじっと動きま
せん。

10分間沸かしたお湯のジャンピングが完全に収まって、しばらく
してからやっと、沸かしたてのお湯もジャンピングを始めました。


やはり、沸かしすぎのお湯でも、ジャンピングは起こるのです。
ただ、早く起こりすぎて見えなかっただけなんですね。


注記:もっと長く沸かすと、そのジャンピングさえ起こらずに、茶葉
     を入れると同時に、殆どが沈んでしまう場合があります。


「ジャンピングを見切ったぞ!」

そう思ってしまったのですが、愛知県食品工業技術センターの中茎
さんからコメントが。


「早くお湯がしみこんだのは、お湯の空気が少ないからじゃないか
もしれない。」「むしろその可能性は低いんじゃないかな。」

「沸かし抜いたお湯のpHがこれだけ変わっているということは、表
面張力が変わっている可能性がある。」「表面張力が小さくなれば、
当然水の浸透は早くなるわけで、逆にその水の浸透のために空気が
追い出されている可能性があります。」「空気は水に溶け込むけれ
ど、そんなに短時間で溶け込むとは考えにくい。」

という話でした。

「うぅ〜〜〜ん。」^^;

「空気砂漠説」を捨てたくは有りませんが、「表面張力説」を否定
できないだけにつらいところです。


茶葉へ水(お湯)がしみこむ速度の違いが、水分中の空気量によって
違うのか、表面張力の違いによって起こるのかは、これからの実験
によって判断するしか有りませんが、ともかく、茶葉に水がしみこ
む速度の違いによって、ジャンピングと呼ばれている現象の時間軸
には大きな開きがあり「たまたま、沸かしたての新鮮なお湯の場合、
3分間の間に激しくその現象が起こっている」とは言えそうです。


ちょっとここで、ハックスレーさんの実験結果に戻ります。

ハックスレーさんはこう言っています。

Only in this third glass have the leaves been fully exposed
and their goodness drawn out. 
この3番目のグラスだけが、茶葉が完全に開き、その成分が引き出
されました。

3番目のグラスとは、沸かしたての新鮮なお湯で入れた紅茶ですよ
ね。つまり、沸かしたてのお湯で淹れた紅茶が一番美味しかったと
言っているわけです。

でも、よくよく、じっくりと考えてみると、この結果は、飲まなく
ても判る結果なんですね。


ハックスレーさんは、その前にこう言っていました。

As for the length of time needed for the full infusion of
the leaves, the expert professional tea-tasters always allow
five or six minutes. 
But five minutes is agreed to be a sensible infusion time for
the ordinary tea drinker.
茶葉を充分に抽出させるために、専門のプロテイスターは、5〜6
分の時間を使います。
でも、普通のお茶好きな方のためには、5分位がいいでしょう。

このために、ハックスレーさんは、抽出時間を6分間で実験しまし
た。

ここで、専門のプロのテイスターが、どんなお湯でテイスティング
をしているかを考えてみましょうね。

当たり前ですが、新鮮な沸かしたてのお湯でテイスティングしてい
るはずです。

1日に数百のテイスティングをする彼らが、いちいち時間を測って
10分間沸かし続けるはずが有りません。
逆に、88℃を測ってその温度で淹れているわけも有りません。


つまり、ハックスレーさんは、「新鮮な沸かしたてのお湯で紅茶を
淹れた場合に、一番美味しい抽出時間」で実験しているんですね。

それを、お湯の条件を変えて実験しているわけなんです。ですから、
どれが一番美味しいかは、飲む前からほぼ想像できますよね。^^;


お湯の沸かし方が変われば、茶葉にお湯がしみこむ時間が変わりま
す。当然それは最適な抽出時間が変わります。

だから水だし紅茶は数時間もの抽出時間が必要なのです。


お湯を沸かし続ければ、お湯のpHも変わります。
それによって、紅茶の味は当然変わります。

ですから、それぞれの状態のお湯による最適な抽出条件を調べて、
その条件で淹れた紅茶を飲み比べなければ、どのお湯の状態が一番
美味しいかは判らないはずです。

沸騰前の88℃のお湯は、茶葉への浸透力が小さいですから、6分
ではなくもっと長い、10分とか12分の抽出条件が必要でしょう。

もし、ハックスレーさんの実験を12分でやったら、沸騰したての
新鮮なお湯で淹れた紅茶は、すごく渋かったはずです。


今、私達は水出しの紅茶も楽しむようになりました。
この水だし紅茶は、沸騰前のお湯なんていうものではなく、その遙
か前の状態です。

一方でロシアのサモアールは、暖房器具も兼ねていますから、一日
中お湯を沸かしています。完全な Over-boiled water 沸かしすぎの
お湯です。でも、その美味しさを否定することは出来ません。それ
を好む人にとっては、それは美味しいのです。


水の状態は、蛇口から出したばかりの状態から(もっと言えば氷が
溶けたばかりの状態から)一日中ずっと沸かし続けている状態まで、
ポイントポイントではなく、ずっと続いて様々な状態があります。

その中で、様々な文化に育まれた紅茶の飲み方での、美味しいと思
える状態のピークが存在しているわけなんですね。

ですから、3分間の間に激しくジャンピングが起こる「新鮮な沸か
したてのお湯」が、絶対条件とは言えません。


かといって、世界中の紅茶関係者が「IMPORTANT!」と言っている
沸かしたての新鮮な湯(Freshly boiling water)が重要ではないとい
うことではありません。


世界中のどこの茶園でも、沸かしたての新鮮なお湯でテイスティン
グをしているわけです。
そして、世界中のティーオークションでは、沸かしたての新鮮なお
湯(Freshly boiling water)でテイスティングして、そのお茶の価格
が決まります。


ですから、そのお茶を作った人達が、そのお茶の価格を決めた人達
が飲んで欲しかった味をそのまま味わうためには「新鮮な沸かした
てのお湯」が非常に重要なんです。


そして、その時には、ポットの中で激しくジャンピングが起こって
いるのです。


ただ、「そのお茶をどう味わうか」それは飲み手の権利です。
そのお茶をどう味わおうと、それは誰も文句が言えません。

ですから、ハックスレーさんも書いているんですね。
The right way to drink tea is the way you like it best. 
「お茶の正しい淹れ方は、あなたの好きな好きな淹れ方です。それ
がベスト!」



もう一つ、忘れてはならないジャンピングの重要な点があります。

判ったことは、お湯は沸かし方でその状態が大きく変わり、そのpH
は味に影響を及ぼし、その浸透力は、抽出時間に影響を及ぼします。


そして、そのお湯の状態は、目で見ただけでは判らないのです。

でも、ジャンピングという現象は、その、目で見て判らないお湯の
状態を、はっきりと目に見せてくれるのですね。

ジャンピングは、目で見ても判らないお湯の状態を示す、重要な指
標と言えるのです。


出来上がった茶葉をどんな風に飲もうと、それは飲む人の勝手です。

しかし、その茶葉を作った人達の思い描く美味しさをそのまま楽し
むためには、新鮮な沸かしたてのお湯が必要であり、その状態を如
実に示してくれているのがジャンピングと呼ばれる現象なんですね。


そういう意味で「ジャンピングさせましょう。」という表現は非常
に正しい表現で、そして美味しい紅茶を飲むために非常に重要なポ
イントと言えます。

でも、それが絶対条件ではけっしてありません。
どう飲もうと、その人が「美味しい」と思える淹れ方が1番なんで
すから。


最後に、ポット用の4gティーバッグをステンレスの針金で水平に固
定し、ジャンピングを全くさせない状態と、そのティーバッグを破っ
て、自由にジャンピングさせた状態の紅茶を、どちらも沸かしたて
のお湯で淹れて飲み比べてみました。

こういう実験をしなければ、本当にジャンピング自体が必要かどう
かは判りません。

ティーバッグを固定した紅茶は、茶葉が開きにくいために若干薄かっ
たのですが、もう少し抽出時間を長くすれば美味しく飲める状態で、
特に濃さの他には、美味しさとしての差は感じませんでした。

当たり前すぎますが、ジャンピング自体は、若干抽出時間に影響は
与えても、それ以上の影響を持っているとは思えませんでした。


ということで、ジャンピング自体に拘る必要は有りませんが、自分
が好きな紅茶は、どんなジャンピングが起こったときかを知って、
それより早く茶葉が沈んだら早めに抽出を終わり、茶葉がなかなか
沈まなければ、ちょっと抽出時間を延ばしてみるといった淹れ方は、
非常にいい方法ですね。


それより、そんな事を気にしないで、ゆったり飲んだ方が紅茶は美
味しい、と、私は思います。^^;


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   ==  編 集 後 記  ==
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ハックスレーさんがジャンピングと呼ばれる実験の後に書いている
こと。読まれましたか?

「誰でも、どんな飲み方をするにしても最終的に美味しく飲む方法
がある。」って書いてますよね。

なんだろうと思ったら、「茶葉が少しくらい高くても、カップ1杯
にしたらたいしたことないでしょ。でも、味の違いは雲泥の差です
よ。だから、いい紅茶を使いましょう。」ですって。^^;

思わず、「ハックスレーさん 偉い!」って、叫んじゃいました。
これほんと、真実ですね。最後はここに行き着きますね。

さて今日は、空気の中のどの成分が紅茶の味に影響を及ぼすかを調
べるティークラブの日です。これも本当に楽しみ。楽しみ。

皆さんも、結果をお楽しみにしていてくださいね。

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        責任編集:堀田信幸     有限会社リンアン
        488-0837 愛知県 尾張旭 市庄中町 鳥居1820
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